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学校ビオトープを野焼きにより管理している。

 

2) ドイツ連邦共和国
ドイツにおける環境教育は1950年代に始まったと言われている。しかし、本格的にはじまったのは世界各国と同様に、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」とローマクラブの「成長の限界」が発表された1970年代であった。当時のドイツでの環境教育は現在の日本と同様に知識偏重型であった。しかし、現在では、「知っていること(=知識)」と「行動」との間には矛盾があるというのが環境教育の前提となっている。そして環境に対する行動は、子供の時に環境とどのように関わったかによって異なるという見解もある。これらのことから学校の近くで自然とふれあうことが重要視されてきている。
自然とのふれあいの場として、ドイツでは学校にシュールガルテン(学校園)というものがある。シュールガルテンは、もともと作業体験をする場としての畑などが整備されていた場所である。しかし、上記のように環境教育の必要性が認識され、シュールガルテンにもビオトープが取り入れられるようになり、生態学的シュールガルテンなどという呼び名もでてきている。特に1980年代から急激に校庭にビオトープをつくる学校が増えてきている。図3−4は、ノルトライン=ヴェストファーレン州におけるシュールガルテンを整備している学校の数を表したグラフである。このグラフにも1979年にはじまる増加が見てとれる。1979年と1989年の10年間で約65%も増えている。また、カールスルーエ市では、1981年にはシュールガルテンをもつ学校はたった1校であったが、現在では51校に上っている。これは市内にある全学校の60%にあたる。

 

 

 

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